31-015 淋しさ
2019.02.21
31-015 淋しさ
覚えてくれていないだろうか、
一抹の希望は、やはりあった。
40年50年会わなかったにしても覚えてくれていないだろうか、
精神が傷つき壊れてしまっていてそんな施設で療養しているにしても・・・
だってぼくは覚えているんだもの。
一時間南に車で走り
医師と養生の現況をレクチャーしてもらい面会の許可をもらい
面会室で会うことができた。
昔の顔つきとは違っていた。
ぼくのことは「知らない」と言われた。
(ぼくも昔と変わってしまったのだろうか)
丸くふくれた顔つきはぼくを無視した。
こんな一生しかなかったのだろうか。
パワハラの呪縛から楽にはなったのだろうか。
喜びは味わったのだろうか。
楽しい時期を過ごしたことはあったのだろうか。
20代で詩集を2冊自費出版してその後今まで3冊目4冊目の原稿を大事に保管していたので
将来への計画は持っていたしおそらく今も持っているのだろう。
なにかできることはあるのだろうか。
おそらく彼女のことを忘れないでいることはできる。
忘れないでいますよと心の中でつぶやき続けることはできるだろう。
おそらくぼくの死ぬまで。